新着情報

活躍する日本農業法人協会の会員をご紹介します

会員限定の情報紙「Fortis秋の特集号」から、活躍する日本農業法人協会の会員をご紹介します。
会員紹介 <第4弾>

農業を働きやすい、魅力ある産業へ!次の世代へつなげる池谷社長の思い

静岡県
 株式会社 アイファーム

代表取締役 池谷 伸二 

古くは徳川家康が築いた浜松城の城下町で、東海道の宿場町としても賑わい、現在では全国有数の農業都市である浜松市。この地は、東に天竜川、西に浜名湖、南に遠州灘、北には天竜美林など豊かな自然に囲まれ、年間日照時間も長く、温暖な気候を生かした野菜や果実の産出量の多い土地である。

そんな浜松市でブロッコリーの作付面積140haと静岡県内随一の規模を誇る法人が今回紹介する株式会社アイファームである。当社社長の池谷伸二さんに経営上の工夫や次世代への思いについてお話を伺った。

就農のきっかけ

もともと内装工事の会社を経営していた池谷社長。他産業から農業の世界に飛び込んだきっかけは、「モノづくりに対する思い」だった。取引先のトラブルやリーマンショックによる景気の悪化等の影響により工事を請け負えない中で、下請けなど「受け身」で仕事をするしかない状況が続き、「自らの手でモノを作り、販売する仕事をしたい!」という思いが募っていた。そんな時、「畑を無料で貸します」という看板を見つけ、自然と足は農協へ向いていた。

需要に合わせた生産

(株)アイファームのブロッコリーと カット商品。

▲(株)アイファームのブロッコリーとカット商品。

就農当初、ブロッコリーの形が出荷規格に合わないため販売できず、在庫の山を抱えていた。そんな状況を打開しようと、ブロッコリーをバラして房にしてしまえば出荷規格のものと変わらないことに気づき、地場の大手外食チェーン店と交渉。味や新鮮さを評価され、取り扱ってもらえることになった。また池谷社長は顧客によって「求める商品規格が異なること」も見出し、一定の規格にとらわれた生産でなく、本当に顧客のニーズ、需要に合った商品を提供する「オーダー型農業」を実践している。

さらに、あらかじめ軸をカットした業務用商品やカット野菜など、規格にとらわれない商品を提供することで、食品ロスの低減、コスト削減を図れている。就農当初の苦労が礎となって現在の「需要に応じた生産」につながっている。

建設業ならではの発想

同社は耕うん部門、育苗部門、収穫部門などに分けた分業制を敷いているが、これには、建設業で働いていた社長ならではの「発想」がある。建設業界では1つの建物を建てるのに工程それぞれに専門の会社が入り、作り上げていく。一方、農業では土づくりから収穫までのすべての工程を1シーズン1回しか行わない。このため経験値の少なさがあると考え、農業においても工程それぞれを分業制にし、短期間で経験値を増やすことで、作業の安定化や効率性の向上を図っている。

スマート農業による働き方改善

また、同社では生産の効率性を高める取組みとして、カメラ搭載のドローンやAIなどスマート農業を駆使した経営を行っており、「令和3年度全国優良経営体表彰生産技術革新部門」の農林水産大臣賞を受賞した。

農場の画像処理解析により、収穫時期を適正に判断でき、収穫回数や移動コストなどを削減。また、就農時から蓄積したデータを、AIに投入して収穫予想モデルを算出することで、安定的な生産・供給を実現した。

こうした積極的な技術の導入には、コスト削減よりも、「従業員の働く環境をよくしたい」という強い思いがある。その思いは「効率性を上げることで露地野菜のきつい作業イメージを払拭し、短時間労働でも給料を安定的に確保できる魅力ある農業に変えた
い」という言葉に滲み出ていた。

今後目指す未来像

池谷社長に、目指す未来像について尋ねると、「次世代につなげられる農業にしたい」という熱い思いを語ってくれた。具体的には、次世代の若者が「農業をやりたい!」という思いで、入社してもらえるような会社を作っていきたいという。これは、池谷社長自身が他業種から農業に参入し、農業界の伸びしろや、人が食するものを生産する誇りのある仕事など、農業の魅力の多さを感じたからだ。一方で、天候に左右される難しい仕事で、先行きが分からない不安もある。

だからこそ、全てのデータを蓄積し、災害時など経営が厳しい状況下でも黒字で経営できるという事実を「数字」で示すことで、次世代の不安を取り除いていきたいという。池谷社長のデータを活用した農業には、「露地野菜でもここまで出来るのだ」ということを数字で示すことで次世代へ農業の魅力をつなげていきたいという思いが込められている。

技能実習生の姿に惹かれ協会へ

当協会へ入会するきっかけとなったのは、会員である知り合いの農業者のもとで技能実習生が礼儀正しく一生懸命働いているのを見かけ、その姿に惹かれたからだと言う。それまで従業員は日本人のみであったが、採用しても3年も続かずに退職していく事が多かった。一方で、技能実習生があれだけ一生懸命働いてくれるのであれば、3年間でも受け入れた方が良いと判断し、すぐさま協会への入会を決めたという。技能実習生を受入れてから、売上も格段に伸び、彼らなくして今の会社はないというまでに現在では、貴重な戦力となっている。

政策提言や悩みを相談できる仕組みに期待

▲(株)アイファームの社屋。

池谷社長は法人協会の政策提言に期待しているという。農業者は孤独で耐えながら仕事をしており、農業者一人の声ではなかなか思いが届かない。特にネガティブなことが起きた時に、農業者の声を一層、吸い上げられる協会であってほしいと語ってくれた。また、農業者は悩みを誰にも相談できず、不安に感じる人が多いため、農業経営者同士の掲示板やアスクドクターズ(医療相談サービス)のような、専門家に気軽に相談できるような窓口があれば安心して営農できるのではないかと当協会に期待を寄せている。

 

魅力ある農業を次世代へつなげるため、新たな挑戦をし続ける株式会社アイファームと池谷社長の動向に今後も目が離せない。

更新日:2022年11月24日

※この記事に関するお問い合わせは日本農業法人協会まで