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「日本農業法人協会における人権方針」の策定について

近年、先進諸国を中心に人権尊重に関する取り組みが強化されています。その中で、2011年に国連人権理事会で「ビジネスと人権尊重のあり方に関する指導原則」が合意され国際的な指針となってからは、各国においても、行動計画の策定や、関係法令の施行等がなされています。日本においても、2020年10月に「ビジネスと人権に関する行動計画」が策定され、2022年9月には、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が策定されたところです。

今後、事業活動を行う上で、これら人権尊重への取り組みはますます加速していくことは間違いないことでしょう。

農業界においても、これらの動きに乗り遅れないために早急な対応が求められています。そこで、ガイドライン等に基づき、当協会並びに当協会会員として人権尊重のために取り組む基本方針を定め、それを実践していく必要があります。

そこで当協会では、外国人材に関する研究会及び理事会での議論を進め、「日本農業法人協会における人権方針(下記参照)」を策定し、2023年3月16日に公表しました。

人権尊重のために、協会と会員が一丸となった取り組みを推進するべく、会員の皆様におかれましても本人権方針に基づいた活動をお願いするとともに、事務局としましては人権デューデリジェンスのマニュアル作成や各種セミナーの開催等で会員の皆様をさらに支援していきます。


日本農業法人協会における人権方針

令和5年2月制定

令和5年3月公表

 日本農業法人協会並びに当協会会員は、人権尊重の取組みを強化するため、以下の人権方針等に則り活動を行います。

 

第1条(人権方針)

1.人権を侵害せず、また事業や取引上の人権に関する課題解決を通じて人権尊重の責任を果たします。

2.強制労働、差別、ハラスメント等の人権侵害をいかなる場面においても認めることなく、自社はもちろん、ビジネスパートナーやその他関係者にも同様の対応を求めます。

3.企業活動を通じて生ずる人権への負の影響を特定し、これを防止・軽減するための人権デューデリジェンスの構築に取り組み、これを継続的に実施できるよう努めます。

4.人権侵害を引き起こした場合、適切な救済措置を講じ問題解決に努めます。

5.相談窓口の設置等により、苦情処理の仕組みを構築します。

6.役員・社員に対し、本方針の実践に必要な教育や研修を実施します。

7.自らの人権尊重の取組みについて、積極的に情報公開していきます。

 

第2条(具体的取組み)

1.差別の禁止

人種・宗教・性別・年齢・障がい、国籍、出身地等に基づくあらゆる差別を一切許容しません。

2.強制労働・債務労働・人身取引の禁止

労働者が自らの意思に基づかない強制労働は一切行いません。また、強制労働に結び付く債務労働も一切行いません。とくに、外国人技能実習生の場合、技能実習を行うために送出し機関に支払う金額が法外なものとならないよう実習生(候補者含む)からの直接の聞き取り等で定期的に確認を行います。また、法的に認められた送出し機関以外の者が関与することにより、実習生(候補者含む)から多額の金銭を搾取しないよう常に確認します。

また、脅迫、詐欺等の強制的な手段を用い強制的な労働をさせることは一切許容しません。そのため、労働者本人とのコミュニケーションを通じ、このような事実がないかを確認するとともに、万が一、人身取引被害者であることが判明した場合は、関係機関と連携の上、被害者を安全に保護するとともに、必要な支援を講じます。

3.ハラスメントの禁止

外国人の場合、文化・風習の違いにより些細なことから不快感を与えたり、相手の尊厳を傷つけたりする場合が少なからずあります。そのため、そのような事が起きないよう相互理解のための交流の場を設けたり、ハラスメント防止の講習会を開催するなどの取組みを行います。

4.結社の自由及び団体交渉権の尊重

使用者は、全ての労働者が自らの意思に基づいて労働組合を結成したり、労働組合に加入する権利を当然のこととして認めます。また、労働組合への加入や組合活動を理由に差別的な待遇を行いません。

団体交渉は労働者の権利として尊重します。とくに、待遇や労働環境等の改善に向けた建設的な場として位置づけ、誠実に対応します。

5.労働時間と賃金

従業員のワークライフバランスや健康維持・増進に配慮し、過重労働とならないよう配慮します。とくに時間外労働については、関係法令を遵守します。

賃金については、関係法令、雇用契約を遵守し支払います。

また、労働時間や賃金等の雇用条件については、雇用契約締結前に労働者が理解できる言語を使用した書面で事前に十分説明し雇用後のミスマッチ等が生じないよう配慮します。

6.労働安全衛生

労働に関連して負傷や疾病が発生しないよう安全衛生教育を徹底します。安全衛生教育については、労働者が理解できる言語で行うよう努めます。

また、常に危険個所の把握に努め、その改善に取り組みます。

7.プライバシーの尊重

労働者の私生活に不当に干渉したり、個人情報等をみだりに公開しません。とくに、技能実習生だからという理由で過度に私生活に関与し外出に制限を設けること等は一切行いません。

以上