農業法人新任者基礎研修会(平成25年度実施)
≪開催の背景≫
農業法人の増加に伴い、農業法人に就職し農業に従事する者が増加しています。また、近年の経営の高度化・多角化、規模拡大等により、人材育成が重要な課題となっています。
一方、農作業における死亡事故は年間400件前後で推移しており、他産業と比べても非常に高い事故率となっています。農業を魅力ある産業とし、さらに発展させるためには、この事故率の低下が喫緊の課題となっています。
とくに、農業法人では、雇入れ時等の安全衛生教育は法で定められた重要な責務となっています。しかしながら、社内だけでは十分な教育が難しく、社外に目を転じてみてもこれらを補完できるような場は少ないのが現状です。
そこで、当協会では、農業法人に従事する新任者を対象に、農薬・肥料の基礎知識や、安全に農作業を行うために必要な基礎知識・技術を習得するための研修会を開催しました。
≪研修会の概要≫
平成25年4月8日から12日までの5日間、農林水産省農林水産研修所つくば館をお借りし研修会を開催しました。北は宮城県から南は熊本県まで9府県から20名の参加があり、業種も水稲、露地野菜、施設野菜、水生植物、果樹等、多岐にわたっていました。
研修会では、ビジネスマナー、農薬・肥料の基礎知識の講義を実施した他、つくば館の水戸ほ場において、乗用型トラクターや刈払機の操作、整備等について研修を行いました。とくに乗用型トラクターについては、日本で唯一の専用施設を使用し傾斜面での危険実技や畦越え等の危険実技を全研修生が体験し、貴重な経験を得ることができました。
なお、農業法人等において刈払機を取扱う者は、安全衛生教育を受けることが定められています。本研修会においては、規定のカリキュラムを実施し、研修生全員に「刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育」の修了証を交付しました。
また、有限会社ストロベリーフィールズ代表の遠藤健二様、久松農園代表の久松達央様から、「経営者が従業員に期待すること」をテーマにご講演いただき、研修生と意見交換をしました。研修生からは、「普段聞くことができない経営者の考えがよく理解できた。」「お二人に今後の考え方のヒントをいただけた。」等の感想がありました。
≪研修会を終えて≫
企業とはいえ農業法人では、同期の社員がいるのは稀で、年齢の近い先輩・後輩も多くはありません。この5日間を通じて、地域や作目を超えて交流できたことは、研修生にとって非常に貴重な経験であったようです。このような機会を通じて全国に仲間を作り、切磋琢磨することで、農業法人の発展はもとより農業界の発展に繋がればと思います。
本研修会は、今回が初めての取組みでしたが、受講した研修生の満足度も高く、非常に有意義な研修会となりました。これも、関係者の皆様のご協力のおかげと感謝しております。
最後になりましたが、本研修会の開催にあたりご協力いただいた、農林水産省農林水産研修所つくば館、全国農業協同組合連合会、株式会社丸山製作所、株式会社インソース、有限会社ストロベリーフィールズ、久松農園の皆様に厚くお礼申し上げます。
≪研修会アンケート結果≫